睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは

睡眠障がいの一つで、眠っている時に呼吸が止まる「無呼吸」症状が繰り返されるなどして、睡眠の質が低下してしまう病気です。そのため、睡眠中だけでなく日中においても様々な症状が現れます。社会的な生活への影響を考えると、日中の症状がより問題となっています。

SASの症状

睡眠時の症状

無呼吸が続くと酸素不足に陥るため、苦しさから目が覚めることがあります。
何度も目が覚めても、自覚されていないことが多く、本人が気づかないまま十分な睡眠を摂れていない状態が続きます。この他、睡眠中に繰り返される強い「いびき」や悪い寝相を家族から指摘されることが多くなります。

日中の症状

十分な睡眠が得られない状態が続くため、体の休息は常に不足し、日中に強い眠気が襲ってきます。倦怠感や集中力低下、居眠りが日常生活に影響を来たすばかりではなく、大きな労災事故や交通事故につながる危険性が高く、社会問題になっています。

SASの原因

睡眠中は体の緊張が解けるため、気道(空気の通り道)が狭くなります。鼻の病気や扁桃腺の肥大、肥満、顎が小さいなど形の異常があると気道が閉塞し易くなり、無呼吸を来たします。特に舌の付け根が緩んでノドに落ち込むと閉鎖が強くなります。殆どの方はこうした閉鎖型が原因となっています。

SASの診断

診断には専門的な検査が必要です。実際の睡眠中の脳波や筋電図、眼球運動、呼吸状態、血液中の酸素の濃度を測る「終夜睡眠ポリグラフ検査」が行われます。専門の医療機関に一晩泊まって検査する方法と、検査器具を借りて自分でデータ記録する方法があり、いずれも医療保険が適応されます。検査で、10秒以上続く無呼吸や低呼吸発作が1時間に5回以上あった場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。1時間に30回以上あると重症と判定します。

SASの治療法

代表的な治療法として、CPAPや口腔内装置(マウスピース)があり、原因や状態により手術も行われます。

CPAP療法

睡眠中に鼻マスクを装着し、管をつないだ専用の機械から空気を送り気道を広げる療法です。

口腔内装置 マウスピース療法(スリープスプリント)

口の中に装着したマウスピースで下顎の位置を固定し、気道に落ち込んだ舌の付け根を移動させ、気道を広げる療法です。CPAPのような器具を必要しないため、使用法は簡単。持ち運びが手軽で旅行や出張などの外泊の際は非常に有利です。

マウスピース療法を希望される方へ

治療に使うマウスピースは、歯や歯肉、顎の位置など、ピッタリ合ったものでなくてはならないため、マウスピース療法を行う歯科医院で、精密に作製する必要があります。また、療法中は定期的なお口の健康管理が重要となります。
睡眠専門外来等で検査を受け、睡眠時無呼吸症候群の診断をされた医師から作製依頼の紹介状(診療情報提供)が発行されると、マウスピースは医療保険の適応となります。紹介状がない場合は保険適応外となり、負担額は約¥50,000~となります。
なお、残っている歯の本数や歯周炎の進行度など、お口の状態によってはマウスピースの装着が困難な方が居られます。まず、事前にかかりつけ歯科医に相談されることをお薦めします。